多摩川衛生組合で燃やされた水銀はどこへ行った?

2018年5月8日

ー熊本一規先生の講演からー

 9月議会で生活者ネットワークの前田さんが取り上げた「多摩川衛生組合での有害ごみ焼却実験」は、その後大きな波紋を呼んでいます。燃焼時に煙突で集められる「飛灰」の持ち込み先である日の出町の議会は、即座に有害物質を含む飛灰の持ち込みは公害防止協定等に違反すると抗議の意見書を採択しました。多摩川衛生組合の管理者である稲城の石川市長は、東京たま広域資源循環組合の管理者でもあり、その管理責任に対する認識のなさが露呈し、結果として両組合の管理者を辞職することになりました。

このように、責任問題に対する議論や対応は表面化しましたが、焼却された水銀そのものの問題についてはあまり話題になりませんでした。そのような中、自治労東京本部主催で「東京の有害ごみ問題(環境行政)を考える集会」があり、行ってきました。

 講演者は府中ネットでもゴミ有料化問題で講演をお願いした明治学院大の熊本一規先生でした。
熊本先生は、『日本は重金属汚染対策は欧米に比べて極めて貧しく、そのために「有害廃棄物」とされた重金属は処理を先送りされながら、大気汚染→水質汚染→土壌汚染をぐるぐる回ることになる。このような汚染循環型社会から資源循環型社会に変えなければ汚染を先送りしているだけ。
そのためには①生産物を変える(なるべく地下資源を掘り起こさない)
②回収型リサイクルを進める(回収しない限りは環境汚染)③処分場を永久監視する(有害廃棄物があるのではなくそのように取り扱う人間の貧しさ)システムに変えること。

ヨーロッパでは2003年に電気電子機器係る特定有害物質の使用制限が決められ、2011年7月からはEU全域からの水銀の輸出が禁止になる。アメリカでは2006年には環境保護庁が「水銀ロードマップ」を出し、大気への水銀排出量を大幅に減少させる。
日本での重金属汚染防止の仕組みをいかにつくるか、重ねて言うが技術的対策は汚染循環にしかならない。それを防ぐ仕組みとしては「拡大生産者責任」によるメーカー回収・リサイクル処理する制度を追求すべき。今、家庭からのものの回収・処理費はすべて自治体が税金で負担している。

今回の多摩川衛生組合のことも自治体が負担を減らしたいと考えたようだが、自治体もある意味被害者。たとえば自治体がこれらのものを「適正処理困難物」に指定し、メーカーに回収・リサイクルさせる手段はどうか。ベストはデポジット制度にしてメーカーに回収・リサイクルさせること。
国際的に重金属対策が進みつつある今こそ、あそこが、ここが悪いと言うようなモグラ叩きを越えて社会の土壌を変える好機だと捉えよう。』と話されました。

今回の問題を、モグラ叩きと表現されましたが、まさにその通り。石川市長が辞めれば解決、という問題ではありません。結論はやはり「拡大生産者責任」の問題で、ゴミ有料化の課題と重なりました。

 それにしても、今回の多摩川衛生組合で燃焼された水銀たちは一部は飛灰でエコセメントになり、一部は灰からスラグになり、大気に出たのはどこに落ちたのか?いつかは地下に浸透して・・・という汚染循環の輪に入ってしまったのでしょうね。