社会福祉協議会の貸付制度の課題

2018年5月8日

不正受給だけが問題なのか?

 今週月曜日、夜7時半から「NHKクローズアップ現代」で、社会福祉協議会の総合支援資金の7割が滞納状態であることの課題を取り上げていました。ちょうど同じ日の午前中に府中市の社会福祉協議会で同じような話を聞いたばかりでした。

 この総合支援資金は、一昨年、麻生政権が衆議院選前の補正予算で計上したもので、これまでの生活再建資金の融資条件を大幅に緩和、日常全般に困難を抱えた世帯の生活の立て直しのために継続的な就労支援や家計指導などを行い、生活費及び一時的な資金を貸し付ける制度です。これまで貸付にあたっては保証人を必要としていましたが、それがなくなったことで利用は大幅に増えました。府中市の場合でも5年前に比較すると、利用は約6倍だそうです。

 貸付額は、単身者であれば生活支援費として一カ月15万円を最長12カ月、オプションで住宅入居費や公共料金などの滞納清算金や転居の際の敷礼金などを貸しつけます。さらに、住宅手当を受けることもできます。もし、最大限借りれば1年間で280万円を借りることになります。1年の貸付期間が終了すると、半年後から最長20年とはいえ、返済が始まります。昨年の秋以降これらの返済が滞っている人が急増している、と言うのがNHKが番組で取り上げた問題点です。

 番組では7割が滞納状態と言っていましたが、府中の場合も同じような状況でした。その原因について、番組では組織的な不正受給があったことを取材していました。路上生活者などに声をかけ、架空の離職票や住民票などで貸付を受けさせ、その多くをピンはねしてしまい、社会福祉協議会が返済を求めようにも連絡先不明で郵便はすべて返ってくるというものです。

 府中の担当者も不正受給のことは認識していましたが、滞納になってしまうのはそれが主な原因でもなさそうでした。最初に家計診断などをしても継続的には相談に乗れるほどの人員体制になっておらず、現在一人で貸付、相談、返済までの業務をやっており、そのこと自体無理だと話していました。さらに、貸付目的にあるような就労相談まで出来るわけがない、そのため多くの人は1年が過ぎても生活再建にまでは至らず、そのまま生活保護受給者になり、結局滞納することになるのだそうです。このような状況になることは現場の相談員の人たちは最初からみんな分かっていて、なぜこんな制度にするのか、と言っていたのだそうです。

 私が以前に聞いた話でも、失業状態で生活保護申請に行った人が、市の担当者からこの貸付を受けるように言われ、結局1年後には今度は負債を抱えて生活保護申請をすることになった、と言うものです。このような例が結果として7割の滞納者を生み出しているのであり、不正受給のみが前面に押し出されたNHKの取り上げ方は、なんだかな—と思いました。
 
 それにしても、こうしてただただ負債を抱えて生活再建にはつながらない今の制度はおかしなところがあります。2月21日からの3月議会では、何回か取り上げた多重債務者問題の延長線上で、この貸付制度の矛盾にも触れながら、十分な生活再建相談耐性がなければ、官制の債務者を増やすばかりであり、民間との連携による生活再建の相談体制と融資制度を提案するつもりです。